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【第2部】 第20話 親友という存在①

last update Terakhir Diperbarui: 2025-09-23 18:00:00

 いつもの教室。変わりのない風景。

 けれど、私の心だけは、いつもと違っていた。

 何度目になるかわからないため息を、またひとつ吐いた。

 そのとき――

「流華……ちょっといい?」

 机に突っ伏していた私に、ヘンリーが声をかけてきた。

 鬱屈した気持ちを抱えていた私は、声をかけられるのも正直億劫だった。

 それでも、珍しく真剣な表情を向けてくるヘンリーに驚き、仕方なくその後ろについていった。

 やってきたのは、学校の屋上だった。

 気持ちとは正反対の、晴れ渡る青空の下。

 私はヘンリーと向かい合う。

「何?」

 なんとなく、ヘンリーの言わんとすることは想像できていた。

 だから、少し態度が悪くなってしまったかもしれない。

 私を見つめる彼の瞳に、かすかに悲しみが揺れる。

「ねえ、僕、あの男嫌いだな」

 不機嫌そうな顔で、ヘンリーがぽつりとつぶやく。

 あの男って……相川さんのことか。

 やっぱり、その話か。

 と、私は一気に憂鬱な気分になる。

 今、そのことで言い争うのは避けたい。

 私はヘンリーから顔を背け、投げやりに言い返した。

「そう。別にヘンリーに好かれなくても、相川さんは平気だと思うよ」

 ああ、まただ。

 こんな言い方……最近こんなことばっかり。

 私、ほんとに可愛くない。

「流華、僕は……龍だから君をあきらめたんだ。

 龍だから、君のことを任せられるって思えた。

 でも、あんな男に君を取られるくらいなら、僕は……」

 ヘンリーの声が震えた、その直後だった。

 私は突然、彼に力強く抱きしめられた。

 息が止まる。

 あまりに突然の出来事に、頭がついていかない。

 私はただ狼狽え、彼の腕の中で固まってしまう。

「へ、ヘンリー!?」

 久しぶりに感じる、彼の体温。

 その温もりに包まれた瞬
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